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略歴・抄録|古川 慎哉

■抄録

歯周病と糖尿病との関連性 さらなる連携の必要性
The relationship between periodontal disease and diabetes mellitus: we should work together for patients.

愛媛大学大学院医学系研究科 疫学・予防医学講座 准教授古川慎哉

 厚生労働省が実施した2016年国民健康・栄養調査では、前回の2012年の報告から比較して、糖尿病が疑われる成人の推計が50万人増加し、1000万人に上がったことが報告されている。今後も糖尿病の有病率が上昇し、糖尿病が疑われる人は増加することが推定されている。
 性別で糖尿病の有病率に差があり、国民健康・栄養調査においても「糖尿病が強く疑われる者」 (20歳以上)は男性の16.3%、女性の9.3%で、糖尿病の有病率は男性でより高いことが示されている。男性においては特に50歳以上となると糖尿病の有病率が高い。女性も年齢が高くになるにつれて糖尿病の有病率が上昇しているが、男性より低い。また、日本人における年齢調整後の糖尿病の有病率は男女で傾向が大きく異なり、女性では糖尿病有病率の低下が推測されている。
 国際的には肥満人口の増加が報告されているが、健康日本21(第二次)おいては、策定時20歳から60歳代の男性の肥満者は31.2%から31.6%とほぼ横ばいで、策定時20歳から60代の女性の肥満者の割合は22.2%から20.5%とわずかながらも減少している。平成28年度国民健康・栄養調査によると、男女ともにこの10年間における肥満者の割合は有意な増減はないとされている。日本人を含むアジア人種では、欧米人と比較して肥満度が軽度でも脂肪肝の有病率が高い。アジア人では欧米人と比較すると膵β細胞からのインスリン分泌も低く、わずかな体重増加でも糖尿病が発症しやすく、糖尿病の発症もBMI23以上で留意すべきとされている。我が国の糖尿病の特徴として必ずしも肥満がなくても糖尿病が発症するリスクがあることが以前より指摘されている。
 歯周病は糖尿病専門医研修ガイドブックにおいても第6番目の合併症とされている。糖尿病では非糖尿病と比して歯周病の有病率が高く、糖尿病があると歯周病の進行も促進されるとされている。ドイツ人2626名を対象とした疫学研究においては糖尿病では糖尿病の分類に問わず、血糖のコントロールが不良(HbA1c>7.0%)であると、非糖尿病や血糖コントロール良好群と比較すると、歯の喪失が進み、歯周病の進行がみられることが示されている。また、日本人2型糖尿病523名での介入研究では、歯周病治療によって炎症が軽減することや血糖コントロールが改善することが報告されており、両疾患の密接な関連性が示されている。しかし、一方で非外科的歯周病治療が血糖コントロールを改善するかは一定の見解が得られていない結果も報告されている。対象者の背景(肥満度、糖尿病の重症度、人種など)や歯周病への介入期間などによって大きく治療効果は異なる可能性がある。特に歯周病と糖尿病に関する調査研究結果においては、日本人では必ずしも肥満を伴っていない糖尿病も多いことにも注意を払って解釈を行う必要がある。
 我が国においては歯周病と糖尿病の両疾患の専門家やスタッフ間で、まだ十分な連携が取れているとは言えない。今後さらなる研究遂行や臨床の場での連携が必要とされている。

■略歴

古川 慎哉

平成9年3月
愛媛大学医学部医学科卒業

平成9年4月21日
愛媛大学医学部附属病院 第三内科で研究に従事
平成9年6月1日
愛媛大学医学部附属病院 第三内科医員 研修医
平成10年6月1日
済生会松山病院 内科
平成12年6月1日
宇和島社会保険病院 内科
平成17年3月24日
愛媛大学医学部大学院 医学研究科卒業
平成18年1月1日
愛媛大学医学部附属病院 第三内科 助教および特任講師
平成23年7月1日
愛媛大学医学部附属病院 第三内科 講師
平成25年2月1日
愛媛大学大学院医学系研究科 公衆衛生・健康医学 准教授
平成27年4月1日
愛媛大学大学院医学系研究科 疫学・予防医学 准教授(名称変更)

評議員・代議員

日本内分泌学会 学会評議員
日本病態栄養学会評議員  日本内科学会四国支部評議員
日本性機能学会評議員・理事(ED診療ガイドライン 改訂2012年版・第3版ガイドライン委員)

指導医

日本糖尿病学会指導医
日本内分泌学会指導医
日本超音波医学会指導医

受賞・研究助成・受託研究等

平成16年度 日本消化器病学会研究奨励賞

主要研究テーマ

2型糖尿病における大血管・細小血管障害の疫学および関連因子の同定

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